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商品の情報

世界屠畜紀行

世界屠畜紀行

内澤 旬子
解放出版社(2007-01)

アマゾン価格: 2,310
 → マーケットプレイス: 1,120 円 より
定価: 2,310 円
アマゾン売上ランキング: 52924位
単行本 / 通常4~5日以内に発送
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 32件

[3点] 著者だけが残念
世界各国の屠場、屠殺の実際、屠畜業者のものの考え方や社会的立場といった
ことについて広汎に取材しており、その情報量、資料的価値は素晴らしいの一言。
イラストも素朴だがわかりやすく描かれている。
しかし、それらを台無しにしているのが著者の文章で、「みんな嫌がるがウチザワは
平気」「どうして嫌がるのかウチザワにはわからない」といった道徳的揶揄とも
自己アピールともつかない文言がいたる所に顔を出し、読後感を損なうこと
おびただしい。屠畜業者に対する差別などにも触れているのだが、「なぜ差別
するのか理解できない」というスタンスから一歩も動かないので、一面的で平板な
ものにしかなっていない。
同じテーマで別の人が書いていれば、またはせめて著者が資料だけ用意して別の
ライターが書き下ろしていれば、と思わずにいられない。 (2009-11-09)
[3点] ルポライターのスタンス
みなさん既に書かれているように、身ぢかなようであまり知らない食肉が「生産」される過程を各国で比べて書かれた本です。

イラストなどでどぎつくならず、またどうしても日本人であれば目を背けることの出来ない食肉産業に関わる人への差別の問題をも考え合わせており、従来の多くのこの手の本がこの辺の記述に関して甘かったことを考えると、とてもフランクな印象を持つ本です。

ただ、個人的に気になったのは、この著者のスタンス。
こういったルポを書く上ではライターがある種のスタンスを持ちながら取材をするのは当然ですが、この本ではそれがうるさく感じる時もあります。

例えば韓国での犬の屠畜の項。
「ウチザワは平気」という言葉に代表されるよう(というよりも本書ではこれが多出して少々煩い)に、この著者は犬をかわいがることとそれを食用にすることになんら相反するところを感じない=両立することと考えているのはわかります。
しかし、どうしてもそういう風に考えられない人の気持ちを理解しようと言うところが見られないため「なんで一緒のこととして受け入れられないんだろう」という以上のところに論理が進みません。

これはわかりやすい例として挙げたものですが、他でも同じようなことを感じました。
食肉産業に関わる人に差別があるという事実を認めた上で「ではなぜ」という方向に著者の想像力の欠如(少々厳しい言い方ですが)のために筆が進んでいない印象です。
差別はあるのか→ない→ないのは当然だよね という考えか、差別はあるのか→ある→なんでだかさっぱりわからない
という二極化でしか意見が見られず、そんなことならなぜ差別を扱うのだ(出版社の意向もあるのでしょうが)という気にすらなります。

厳しい言葉で言ってしまえば、現場へ行き、その様子をレポートすること以上に頭が回っていないような気がします。
それだけを目当てに買うのならば十分ですが、差別問題についてきちんと考えようと言う向きにはお勧めできないです。

結局この人が書いている差別への問題は、方向が違うだけで同じ差別のように私には感じます。
日本の食肉に関する差別は言語道断ですから、まだいいのですが、「犬の肉を食う」というような微妙な問題に関しては論の詰めが甘すぎです。

それを
「ウチザワは平気」
という一言で片付け、しかも、それを間違いのないものだと信じきって書いているのには少々閉口します。

そこ抜きで屠畜に関するルポとしてだけ読むならおすすめかと思います。

(追記)
あるきっかけでアメリカのPublic Domain扱い(著作権がフリーになっているもの)の産業映画を見る機会がありました。ここで具体的にURLを挙げるのはサイトの性格上まずいと思いますので控えますが、どなたでも簡単にweb上で検索の上、見ることができる性質のものです(Universal Access to Human Knowledgeでご検索ください)。
その中にあった食肉加工に関するある企業のフィルムのキャプションに"one of the most disturbing films〜"(もっとも避けられがちなフィルムの中の一つ、くらいの意味でしょうか)という記述がありました。見た人のコメントもこの内澤氏の本を読んだだけでは予想だにしないコメントが並んでいます。
そこには日本や韓国でいうところの差別とは違った 何かの「畏怖」があるように見えます。そこには当然キリスト教といった日本とは違った価値観があるので、一口に説明は難しい性質のものですが、一ついえるのはどうもこの本の取材はとても私が思っている以上に一面的かつ独善的なのではないのか、という点です。

この本だけ読んだ人にはアメリカ人の多くの人が食肉産業に「抵抗」がある(差別ではない)というのは読み取りづらい気がします。
(2009-05-31)
[5点] 面白いのに勿体ない
これ、都内某所のラーメン屋に置いてあって待ってる間に読みました。食文化を描写した本、もしくは比較文化学的フィールドワークとして非常に面白い本です。ユーラシア大陸の東西に渡ったルポなので、色々な国々の文化が微妙に繋がってるような感覚も理解できます。とても面白かったです。ただ残念なのは、出版社も含みで部落解放とか同和問題みたいなイメージがこの本についてまわることでしょう。つまり、日本では屠畜に関わる人達と同和の問題が結構近くにあるようなので、否応無くそっちのことも意識させられてしまうこと。個人的にはそういう差別的な考えは持ってないのですが、世間一般の多くの人にはこのイメージで遠ざけられちゃうかもしれない。それが勿体ないかな。
アテネの市場だと羊の頭付きの半身とか普通にぶら下げて売られてて「やるナァ」と思ったものです。読みながらそんなことも思い出しました。どこか大手の出版社から出したらもっと注目されて売れるんじゃないかな。 (2009-04-24)
[5点] 非常に興味が湧く本
日本人は水族館に行けば寿司が食べたくなる場合がある。が、動物園に行って食欲が湧くといった話はあまり聞かない。それは「畜」について日本では生きている姿と食卓が非常に離れているからだろう。

昔、田舎で鶏の首をはねるのを見ていたら、はねられた姿のまま走り回られ、以来鶏肉が食べられなくなったと言う人がいた。
私の中で屠畜というと、このエピソードが長く印象に残っていたのだが、この本では、それは、鶏の肉体の習性であり、その習性をわかっているが故、首をはねたら、落ち着くまで入れておくドラム缶に蓋をしたようなものを用意している地域が紹介されていた。

インターネットその他の通信技術の進化により、グローバルな情報が入るようになり、どんな地域の情報も分かったような気になっている現代に於いても、このような、屠畜に関わる部分はタブー感の違いにより、世界的な共通認識を持ち難い。

この本はその部分に気負うことなく取り組んだものだと思う。
妹尾河童のようなデフォルメの少ないイラストが、ユーモラスであり、かつ生々しさを排除していながら、充分な理解へいざなう。
また、物怖じしない彼女の屠畜の体験ルポも興味深い。
是非、読んで欲しいものだ。

しかし、この本には関係ないが、イルカ・鯨・犬に過激な反応を示す世界的な団体がいくつかあるが、あの団体は何故自国の屠畜(牛や豚や鳥)については、活動をしないのだろう。
他国の文化に過激反応を示す前に、自国の見返りをすべきなのではないかといつも思ってしまう。イルカ・鯨・犬は特別なのだというセンチメンタルな理論がしっくりしないのは、責められる側だからなのか・・。

さらに蛇足だが、彼女がイラストを描いた、「東方見便録」も近いテイストでとても楽しめる。次に読む本に推薦したい。単行本がお勧め。 (2009-02-14)
[5点] 食育の前にあるもの
処理されパックにされた肉を食べ、満腹になれば食べ残し捨てられていく食材。
屠畜という肉を食べるために絶対必要な場面をほとんどの日本人は知らない。
たまたま自分は獣医という資格があるので、実習その他で知っているにすぎない。
そして、被差別という現実を著者の内澤さん同様、まったく知らないで大学に
入った。そして初めて人が人を職業や生まれで差別する現実を知った。
本書はまさに肉がどのようにして動物を殺して作られていくのかを、絶妙なイラストで説明してくれる。そして世界中の屠畜の姿と屠畜に対する生身の人間の感情を聞きだしている。
民俗学者の宮本常一は日本の民俗学であえておき忘れてきた「女性史、芸能史、部落史」をやらねば民俗学などと言えないと書いていた。
自ら食べる肉の出来る工程すら知らないで食を語ることのないようにしたいものだ。
そして、穢れなどという思想で人が人を差別してきた現実を我々はしっかり考えないといけないと思う、少なくとも肉を食べるのならば。
そして、動物の命を殺して人間が生き延びていることを、すくなくとも「いただきます」という言葉に心をこめて動物たちに捧げなければいけないのではと思う。
CWニコルはこの「いただきます」という日本語は素晴らしいと著書の中に書いていた。
多くの日本人が忘れている、自然や食材となる動植物に対する感謝の言葉をもう一度考え直す良い本である。そして大人食育教科書にも最適であろう。 (2009-02-02)

世界屠畜紀行

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