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『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)
亀山 郁夫
→ マーケットプレイス: 440 円 より 定価: 819 円 アマゾン売上ランキング: 86295位 新書 / 通常24時間以内に発送
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ずるいけど面白い
ちなみになぜこんなマニアックな本がこのタイミングで出たかというと、本書の著者である亀山さんが最近「カラマーゾフの兄弟」の新訳版を出して、ちょっとした「カラマーゾフの兄弟」ブームになったからです。亀山さん訳の「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人が、まんまとこちらの新書も買わされるという(僕もそうなんですが)一種の抱き合わせ商法になっているのです。しかも内容は本家の最終巻に載せてある「解題」を膨らませただけという、なんとも手抜きな感じの新書になってます。はっきり言って、これはずるい。
でも困ったことに、この新書けっこう面白いんですよね。「カラマーゾフの兄弟」は作品そのものよりも「続編」を想像・空想・妄想する方が断然楽しいというのが定説なわけですが、それを翻訳者がやっちゃってるわけで、これは当然興味深いし面白い。また普通は「カラマーゾフの兄弟」を読み終わっても、こういう「空想」を語り合える友人が近くにいることはなかなかないわけで、本書は空想を共有する楽しみもちゃっかり備えていると言えます。翻訳者がこんな本を出しちゃうこと自体、やっぱりこれもずるい。
なんかねー、とにかくずるいよね。だって最近「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人は、この新書も読まざるを得ないんだもん。悔しいけど、オススメ本なのです。特に亀山訳で「カラマーゾフの兄弟」を読んだ人は、必ずこちらも一緒に読んでみてください。「カラマーゾフの兄弟」の魅力が一気に数倍に膨れあがること間違いなし、なので。 (2008-04-16)
正に「余熱」の書
既にタイトルにもあるようにこの本は、「・・空想する」という立場にたって書かれた書であり、読者はそれを予め踏まえた上で読むべきものであると思います。
著者は、ドストエフスキーの大名作「カラマーゾフの兄弟」を新訳する快挙を成し遂げた後に、どうにも書かずにはいられない内的衝動、否使命ともいうべき意思で、本書を謂わば「空想」した・・それは常人には、計り知れない程のプレッシャーが有ったことでしょう・・
推考に推考を重ねながらも逡巡し逸脱しそうになりながら執念で書かれたのが、この本ではないかと思います。
著者の姿勢には、常に極めて謙虚でありながらも飛躍する勇気(冒険)も含まれてあり、その論考には読者を惹きつけて離さない切迫したものがあります。
ぼくは、新書でこれだけの「内容」の濃い「密度」の高い本を嘗てこれより他にみたことがありません(極めてCPが高いと思います)。
既に「カラマーゾフの兄弟」(未完の書)を読了した読者には、正に待望の、また「余熱」冷め遣らぬ書と言えるのではないでしょうか・・
大名作「カラマーゾフの兄弟」続編に挑戦した著者の惜しみない「情熱」に拍手を捧げたい・・そう素直に思えます。 (2008-03-09)
がっかりでした
とてもがっかりしました。
空想というより、妄想という感じでした。
興味の無い個人哲学を延々読まされた気分です。
カラマーゾフの兄弟を好きな人でも
本書を買うときはよく考えたほうがいいと思います。 (2008-03-07)
素直に受け止められる作品
宗教問題、そこからくる性の問題、そしてオイディップス・コンプレックスとしての「父殺し」、その延長線上にある「第二の父殺し=皇帝暗殺」と、様々な視点で描かれているのですが、それに戸惑うことはありません。
そこには、作者が言う「象徴層」「自伝層」「物語層」というはっきりした視点を用意されているからだと思います。そうした作者の論理性の素晴らしさが、誰が読んでも素直に受け止められる作品にしているのだと思います。
とにかく、この本を読むと『カラマーゾフの兄弟』の続編は、これしかないと思ってしまいます。
改めて、『カラマーゾフの兄弟』を読み直さねば・・・。 (2008-01-10)
「幻の作品」が見えてくる!
著者はオリジナル作品の暗示的な「序文」や、続編への伏線とみられる謎めいたディテールをはじめ、作者の残したメモ類、同時代人の証言など、客観的データを多角的に検証。想像の翼を広げ、続編の輪郭や骨格をイメージしていく。そのまるでジクソーパズルを1枚ずつはめ込んでゆくみたいな丹念な作業を経て構築したのが、以下のようなダイナミックでスリリングなストーリーだ。
……本編の舞台から13年後、1879年のロシア。キリスト教布教者アリョーシャはモスクワの大学を卒業し、村の学校で教えるかたわら、新しい信仰を広めてゆく。一方、少年時代から彼と交流があるコーリャ・クラソートキンらの〈弟子〉たちは成人し、コーリャが中心となり革命組織を結成、列車爆破による皇帝暗殺計画を練る。そして、組織は皇帝暗殺後のリーダーにアリョーシャを据えようと決議。コーリャはアリョーシャに就任の要請をするが、ふたりはテロルか融和かをめぐり対立。その後、暗殺計画が漏れ、テロ決行前日、コーリャは逮捕される……。
ざっとこんなプロットだが、著者は様々な根拠を挙げ、従来のアリョーシャ=皇帝暗殺者説を否定。事件の首謀者をコーリャとし、アリョーシャは間接的な関与にとどまるとの創見を示す。その背景に設定した1879年というのはドストエフスキー死去の2年前、国内で政府要人に対するテロルの嵐が吹き荒れた年である。
全体の構成は本編同様、「4部+エピローグ」形式を想定、各部各編の展開もラフスケッチ。さらに、本編を彩る登場人物、カラマーゾフの長男ドミートリー、次男イワンをはじめ、カテリーナら女性陣のその後の足取りを描いているのも興味深い。
このほか、壮大な物語に採用されたであろう、ロシア正教異端派の「性と信仰」のモチーフを幅広い観点から論考するなど、全体として著者の学識とイマジネーションが発揮され、ライトな新書らしからぬ読み応えがある。
……空想、仮説とはいえ、おぼろげに見えてきた「幻の作品」。もし、世に出ていたなら……。
(2007-12-24)













