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The Translator
Daoud Hari
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ダルフールの心の叫び
ここに略記したようなダルフールをめぐる政情は本書で著者が正面から取り上げているものではない。題名の示すように著者はダルフールの一部族(ザガワ)に属し、ザガワ語、アラビア語、英語の知識によってそこを訪れる欧米人記者の通訳となった。彼はその仕事によってスーダン政府のお尋ね者となり、拘留され、拷問され、民兵の気まぐれひとつであの世へ旅立つ運命の淵に幾度となく立たされた。彼はまたその命知らずの行動の過程で幾多の惨状を目撃する。惨劇は女子供を容赦しないどころか、女子供こそが狂った兵士たちの目ざす獲物であった。惨状は同行した剛毅な西洋人記者を嘔吐させ、涙にくれさせた。読者は人間が人間でなくなるのはなぜだろうかと後々まで考えないではいられないだろう。
本書が描くのはこのようにして多くは人類の愚行である。しかしたとえそこがアフリカの一角に過ぎないとしても読者は、砂漠とはどういうものか、砂漠を旅するとはどういうことか、部族や家族を結ぶ絆はどのようなものか、さらにはまたラクダやロバなどの興味深い生態について教えられる。著者の働きは一介の通訳としての働きではなかった。その献身が結局は彼の命を救い、やがてこのような書物となってわれわれに届けられる結果を生んだ。本書に登場する英米の記者はいずれも名の知られた人たちである。もし著者の言うところに意図した誤りや偽りがあったとすればこれらの同行者たちが黙ってはいないはずである。
(2008-07-12)












